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イイムロがいく おしかけ職場探訪Vol.8[伊藤芙美さん 第1話]

竹を割ったようなさっぱりとした笑顔の芙美さん。その性格は生まれ育った家庭の影響なのか、はたまた芙美さんが使命を全うするために両親の元に生まれてきたのか。第1話では子供時代から遡り、その後に知的障がい児施設に就職するまでのお話を伺いました。Biotope紙面では紹介しきれなかったロングインタビュー、Web版として全3回に分けて公開です。

伊藤 芙美さん
愛知県西尾市出身。短大で保育士の資格を取得し、知的障がい児施設の入所部門に就職。その後はのちに現職の就労移行支援カランコエの母体になる一般社団法人いるかビレッジを仲間と立ち上げ、コミュニティの力で社会問題の予防や解消を目指す。途中、オーストラリアでパーマカルチャーや民間自然教育、インドでヨガを学び、2020年から長野市にてカランコエの管理者に。さまざまな障がいを抱え働くことが困難な人たちのサポートを行う。

第1話:両親から影響を受けたのか、使命を全うするためこの両親のもとに生まれてきたのか…

飯室(以下、飯):今日は就労移行支援カランコエにおじゃまし、管理者として活動されている伊藤芙美さんにお話を伺います。芙美さん、今日はよろしくお願いします。

芙美さん(以下、ふ):お願いします。

飯:芙美さんとはもう何度かお会いしていますが、竹を割ったような性格と言いますか、いつもさっぱりしていて真っ直ぐな雰囲気がします。いつも軽やかで良い空気を纏っている印象です。

芙:ありがとうございます。これはまずは親のおかげですよね。

飯:あ、やっぱりそうですか。実はそんな気がしていて。

芙:昔から家族とは仲がいいんです。私自身、自分のフィルターを通して社会を見てきたつもりですけれど、市議会議員をやっている父がずっと原発に反対していたり、福祉や子供を大事に訴えていたりするのを、かっこいいなって子供ながらに思っていました。 そんな影響もあって、私自身も社会に関わっているのかもしれないですね。

飯:お父さんからの影響がある。

芙:あ、でも、どちらかって言うと、私にやりたいことがあって、この親の元に生まれてきたのかも。そっちかもしれないですね。子供が自分の使命を全うできるように親を選んでくるって聞きますから。

飯:芙美さんが親を選んで生まれてきた、ですか。ということは、芙美さんのお子さんも、芙美さんや旦那さんを選んで生まれてきたのかも?

芙:そう、だからうちの子が、思いっきりこう、社会不適合者みたいに育つかもしれないし、それならそれで、それをやりたくて私たちのところに生まれて来ているのかもしれない。そして私自身もそれを経験したくてこの人生を選んでるかもしれない。

飯:インタビューの序盤から話が深い…。ご家族の話にちょっと戻りますが、お母さんやお姉さんとはどういう関係でしたか?

芙:母も姉も保育士で、その流れで保育に興味を持ったと思います。母は養護施設で働いていたのもあって、「こういう親とこういう子がいて、今ちょっと大変で…」みたいな話が日常的に耳に入ってきて、そういう話に影響を受けていたと思います。社会的に弱い立場の子供や発展途上国の子供たちに対しても、そのころから興味を持ち始めたんじゃないかな。

飯:短大卒業後に就職したのは保育園ではなく、知的障がい児施設だったそうですね。

芙:はい、学生のときに施設実習をしたところなんです。実習は1、2週間で終了するけれど、仲良くなった子供たちが寂しそうに、 もう帰っちゃうんだねって言うのに、もう心が引き止められてね。ここで就職しようって、その時に決めました。

飯:心が引き止められた。

芙:そう。そこは大きな家みたいなところで、自閉症とかダウン症とか知的障がいとか、いろんな子供たちが60人ぐらいで寝泊まりしていました。普通の保育園や幼稚園だと、教育がどうとか、 親御さんがどうとか、気を配る先が多いですが、障がいを持った子供たちを相手にしていると、全部を喋って教えてくれるわけでもない。だからまずなにより子供のことを日々よく観察する。子供をよく見ていないと理解できない。そこに保育の基本があるような気がしました。

飯:4年ほど働かれたあとに離職されますが、タイミングはどう訪れたんでしょう?

芙:世界一周したくってね。 世界を旅したいですって言って、辞めたんです。単純に興味や好奇心があったっていうのもあるし、そういう生き方をすることが、施設の子供たちにもいい影響になったらいいなとも思った。社会にはいろんなルールがあって、特に障がいを持っているとレールが敷かれちゃってるようなところがある。そこに違和感を覚えていたんです。だからまず自分が自由な生き方をしてみようと思った。そう思って辞めたんですけど、結局行かなかったんです。

飯:え、行かなかった?

芙:そう。世界一周しようと思って辞めたけれど、同時に畑もやりたいと思っていて。そういう自然な暮らしをしてみたいというか。 それで、いろんな田んぼを手伝いに行ったりパーマカルチャーのコミュニティに入ってみたりしていたら、ちょうどエコビレッジを立ち上げるひとたちを紹介されて、私もそこに住みながら畑を始めました。

飯:そこがイルカビレッジ。

芙:そう。それがイルカビレッジですね。世界一周は行かなかったけど、私にとってはイルカビレッジが大冒険だった。


(次回に続きます)

1166バックパッカーズ

飯室 織絵

兵庫県出身。2010年に長野市にてゲストハウス・1166バックパッカーズ開業。ガイドブックの情報ではものたりない旅人と地元のひとを緩やかに繋ぐパイプ役を目指す。日々旅人の話を聞かせてもらうなかで聞き・書きにも興味を持つ。

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