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イイムロがいく おしかけ職場探訪Vol.9[廣政あやさん 第2話]

憧れだった会社が運営するカフェのキッチンスタッフとして働き始めることになったあやさん。調理の仕事に身を投じるなかで、その後、公私共にパートナーとなる真也さんと出会い、こまつやの原点ともなるマクロビの世界に足を踏み入れます。Biotope紙面では紹介しきれなかったロングインタビュー、Web版として全3回に分けて公開です。

廣政 あやさん
長野市出身。進学した京都の大学では日常の暮らしに欠かせない衣や住について学ぶ。卒業後は料理写真専門のスタジオ勤務を経て、ロングライフデザインをテーマに活動するD&DEPARTMENT大阪店のキッチンスタッフに。結婚を機に長野に戻り、実家を改装し夫婦でパスタと自然派ワインのお店・こまつやを開業。西之門町の青年部にも所属し、夕涼み会やこどもレストランなど地域活動にも主体的に関わる。小学2年生と中学2年生の姉妹の母。

第2話:30歳を目前に見えてきた自分たちの方向性

飯室(以下、飯):前回は、学生時代からの憧れだったD&DEPARTMENT(以下、D)の大阪店にオープニングスタッフとして採用され、カフェのキッチンスタッフとして働き始めたところまでを伺いました。

あやさん(以下、あ):そう。それで大阪店がオープンするまでの1ヶ月間は東京店で研修だった。もう言われるがままって感じで。

飯:そこで真也さんに出会われるわけですね。

あ:そう、しんちゃんは東京店でアルバイトしてて。

飯:あやさんは履歴書への書き間違いからキッチンスタッフとして働き始めたそうですが、それまで調理の経験はあったんでしょうか。

あ:一人暮らしでやる程度にしか料理はやってなかった。 飲食店でアルバイトしたことはあったけれど、ほとんどお運びさんみたいな感じだったし。

飯:未経験での苦労はありましたか?

あ:それが割とすんなり仕事に入れて。それまで働いていた写真スタジオで料理自体のアシスタントもやっていたから、例えば料理が上がる前には「そろそろお皿が必要だな」とか、そういう流れを予測する目は育っていたんだと思う。研修の1ヶ月間で東京店のメニューを作れるようになって、大阪店に戻ってからは新しく入ってきたひとに教える立場になって。

飯:そこから飲食業にどっぷり浸かってゆくわけですね。履歴書、書き間違えてよかったですね…。

あ:うーん、でもショップスタッフとして採用されていても、それはそれでやりがいはあったと思う。学校で料理の勉強をしてきた後輩のほうが自分よりも経験や知識があるから、下に見られるようなこともあったし。

飯:それでも続けられたのはどうしてだったんでしょう。

あ:仕事は楽しかった。そのときの店長って私より一回りぐらい年上だったんだけれど、「こういうお店にしたい」とか、「こういう料理を出したい」とかいろんなことを話してくれて。閉店後にお酒を飲みながら、サービスのことを熱くね。

飯:こまつやは味はもちろんですが、スタッフと客との距離が心地いいなと思います。周りの動きをいつのまにか把握している感じがして。そういったサービス面に関してもDでの経験が活かされているんですかね。

あ:例えば毎回コーヒーはブラックで飲む常連さんがいたらそれを覚えておいて、ミルクと砂糖は持っていかない。オーダーを受けたスタッフでなくてもどのテーブルのどの席に座っているお客様が何を頼んだのか把握しておくことで、「○○をご注文の方?」と尋ねなくてもサーブできるようにするとか。今のこまつやのサービスに繋がっていることは多いと思う。

飯:そうか、テーブル内の席までも…。客の立場では気づいていないけれど、そういう小さなことの積み重ねが心地よさに繋がっているのかもしれません。あやさん、今日は本を持ってきていただいていますが、そちらもご紹介いただけますか?

あ:これは当時たまたま代官山の蔦屋で見て、なぜか惹かれて買ったの。その時点ではマクロビっていう言葉すら知らなかったけど。そうしたら、しんちゃんが私よりも興味を示して、マクロビの料理教室に通うっていうから、じゃあ私も行くって感じで。

『ORGANIC BASE マクロビオティックと暮らす』奥津 典子 / (ビジネス社)

飯:長く読み込まれたのがわかります。まるで学校の教科書のよう。マクロビは穀物や野菜、海藻など日本の伝統食をベースとした食事を摂ることにより、自然と調和をとりながら健康な暮らしを実現する考え方ですね。

あ:最初の頃はDのカフェでも化学調味料の入ったコンソメや昆布茶、業務用のお醤油とかを使ってた。私たちはマクロビを勉強したことによってそこに疑問を感じ始めていて。当時、自然派ワインも大阪で流行りだしていて、私たちもそういうお店にもよく行ってたの。 自然派ワインだとあまり悪酔いしない。だからワインも全部変えたいよねって。私は1人だときっとできなかったけど、しんちゃんの「決めたらやる」みたいな行動力についていった感じ。

飯:あやさんは大阪店の立ち上げから5年半ほどDに在籍されたそうですが、退職を決めたきっかけはなんだったのでしょう。

あ:やっぱりお店で雇われている以上は、自分たちの好きにはできない。店長のやり方とは違う自分たちの方向性が見えてきたりして。あとこれもマクロビを勉強したのがきっかけなんだけれど、毎日深夜まで働くことに疑問を感じ始めていた。結婚や出産を考えると、もう少し健康的な生活がしたいなって。

(次回に続きます)

1166バックパッカーズ

飯室 織絵

兵庫県出身。2010年に長野市にてゲストハウス・1166バックパッカーズ開業。ガイドブックの情報ではものたりない旅人と地元のひとを緩やかに繋ぐパイプ役を目指す。日々旅人の話を聞かせてもらうなかで聞き・書きにも興味を持つ。

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