Column

ぶんぴつ部
[結婚ってなんだ?]
2021.09.19

ぶんぴつ部
[結婚ってなんだ?]

先日Biotopeバックオフィス内で密かに発足した「ぶんぴつ部」(文筆だと思うけど、たまに分泌になるのかもしれない)にて、とても盛り上がった「結婚観」についての話。
他人にはあまり触られたくないけど、仲良しは類友だから考えが似通っていて、実のところ、結婚に関するいろいろな考えってあまり知らないよね?知りたくない?というもの。

非常にプライベートな内容ゆえに自分のことを露呈するのは恥ずかしくもありますが、今の多様な価値観の海の中で、自分が見えずに溺れそうな人がいるとすれば、浮き輪のひとつになれるかもしれないと「リレー式で書いてみる?」ということになりました。

今回は、38歳独身女性・アーティストの私の場合。

結婚は40歳でいいと思っていた高校時代

高校生の頃から「結婚は40歳でいい」と思っていた気がします。人生が80年あるとして、なんで20代半ば(当時の適齢期)で他人と一緒になって、それから死ぬまでの50数年を共に過ごさねばならんのだ!
ひとりの時間半分、他人との時間半分なら納得できるから、40歳!という持論でした。

20代は社会に出始め、同級生がちらほら結婚をし始める頃でもありました。

「お先に〜!」と勝ち誇った顔で言い放った友人がいましたが、「バカヤロ!こっちはこっちで必死だわ!」とワーカホリックまっしぐら。その頃の私は美術関係の仕事をしたいと思いつつも、どうしたらいいのか分からずに、全くの別業種で社会経験を積んでいました。

今おかれる場所で頑張るにしろ、いつか美術系に進むにしろ、自分の基盤をちゃんと作りたい!と強く思う私にとって、結婚は足かせにしか思えなかったのです。

結婚は足かせ?

なぜそう思ったのか。
それは自分独特の感覚もあると思いますが、家庭環境も大いにあるような気がします。

私の父は、大正の頑固親父に育てられた昭和の残党。ちゃぶ台をひっくり返すような(ちゃぶ台ではなかったからひっくり返りはしなかったけど)関白亭主で、母は内職だったのでほとんど専業主婦のようなものでした。 父方の祖母とは同居で、頭の切れる祖母は孫の私から見てもイケ好かない年寄りだったので、母は色んな思いをグッと飲み込むこともあったでしょう。

家庭内の様々なことを一手に引き受ける母を尊敬していましたが、「なんで対等のはずの夫婦なのに、男はこんなに偉そうで何もしないんだ」ということが子供の頃から不思議でなりませんでした。(一応フォロー。父の働きのおかげで割と裕福な家庭でしたし、両親は仲が良かったです。)

そのため「アーティストになる!」と決めたときにも、それを達成する前に結婚をするという考えはありませんでした。

どこかで女性の方が自分の時間を取られると思っていたし、そもそも狭き門であるアーティストにとって、育児などで数年のブランクを作ることは命取りにしか思えなかったからです。

結婚の多様性

そんな思いと、結婚や出産に特別思い入れがない性格とが相まって、今まで独身でいるのだと思いますが、色々考えてのことなので受け止めて欲しいというのが願い。

「結婚していないし、子供も今のところ考えてないです」と言わざるを得ない場面に出くわすと、場の空気が凍てつく(もしくは説教される)ケースがあってけっこう傷付くんですが、多様性って言いながら、意外とまだまだ受け入れてくれないんだな〜と思います。

だけど30代も後半に入り「40歳で結婚」が目前に迫ってきた今、その新しいステージを完全拒否しているということではないんです。

私はお姫様が大好きだったから、ウェディングドレスは着てみたい。

仕事ができなくなるのではないか?という恐怖も、結婚・育児を経験された先輩方に質問して自分の思考を広げる参考にさせてもらったりして。

一方で、ご活躍中の年上の既婚男性アーティストに「彩さん、アーティストでいつづけるなら、結婚はしないほうがいいです。その時々でパートナーがいればそれでいいですよ。」と助言されたことも、考え方のひとつとしては間違いではないのだと思います。

ひとりでは生きていけないから

ひとりで生きていく術を身につけなければ!と思っていた20代でしたが、大人になるにつれ、それはとてもおこがましい考えだと気付くようになりました。

そもそも、私が食べているお米は農家さんが、病気になればお医者さんが、電気が、水が…と考えればキリがない程に、たくさんの人のおかげで自分があることが分かります。結婚とはその最小単位なのかもしれませんね。

ひとりで積み上げてきた経験は、ふたりになったってきっと無駄ではないと思うから、自分が「この人!」と思う人と手を取り合う経験もしてみたい。

それがいつ来るのかは分からないけど、私は引き続き自分の人生を更に豊かにするために手探りをしながら歩いていこうと思います。

ちなみに私は男性が好きですが、パートナーというのは異性に限ったことではありません。手を取り合う形は様々あっていいし、それが許容される優しい世界になればいいな。

画家

関口 彩

画家。富山県出身在住。
会社員のかたわら絵画制作をはじめ、2017年より画業に専念する。 作品は、動植物や石など自然のものを独自の視点で切り取り、細やかな筆使いで描くのが特徴。 装画、パッケージなどのクライアントワークを手がける他、作品発表を各地で行う。

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