日々、描いたり泣いたり笑ったり#1[わたしのこと、Biotopeとの出会い。前編]
Biotopeをご覧のみなさま初めまして!長野県のお隣、富山県在住の画家・関口彩です。Biotopeのフリーペーパーの表紙と、インスタグラムの中の人をやっております。この度WEB版にてコラムを連載させていただくことになり、さて、何から書こうかと逡巡したのですが、まずは自己紹介も兼ねてどうして私が長野市とBiotopeに関わることになったのかを書いていこうと思います。
きっかけは国内逃亡
私が会社員を辞め、絵描きでフリーになった3年目、2019年は多忙を極めた年でした。1〜2年目はイラストレーターとして何となくお仕事をいただけていたのですが、クライアントありきのイラストレーターではなく私がやりたいのは自分の想いを表現する画家だ!と方向転換を決めたのが3年目で、とにかく展示会やコンテストに注力していました。1ヶ月に1度のペースで三大都市圏を行き来し「ああ、もう人に会いたくないし絵も描きたくない。どこか暖かくて遠いところに逃げたい…」と疲弊した私は、ようやく時間が取れる冬には南の島へ逃亡をしようと企てていたのです。
企てた先は、憧れの奄美大島、それから沖縄や伊豆諸島など。当初は短期のリゾートバイトでと思っていたのですが、南の島の冬はオフシーズンのため短期募集はあまりないとのこと。その上、私は髪がハイトーンベリーショート(当時はピンクが抜けた金髪)だったため、就業規則が厳しいホテルなどの観光業はできない(したくない)ということに気付き、リゾートバイトはあえなく撃沈。そんな中たまたま手に取った市の広報で見つけた「ふるさとワーキングホリデー」の文字が、まさか長野につながるとはその時は思ってもいませんでした。
ふるさとワーキングホリデーとエリコとの出会い
ふるさとワーキングホリデーという言葉は知らなかったけど、つまり国内ワーホリ?逃亡したい私にぴったり!と即座にネットで検索をし、総務省のポータルサイトを発見しました。
内容は、主に首都圏住まいの学生に向けての事業で、地方暮らしを体験して良さを知ってもらい、東京一極集中から地方へ人の流れを作りたいということのようでした。私、学生でもないし地方住まいだけどいいのかしら…という若干の不安を抱きつつも諦めきれない南の島を再度チェック。しかし沖縄なども募集はあったもののほとんどが観光業で「もうこうなったら、全国の中から好きそうな仕事で選ぶか」というところに着地したのでした。
候補はふたつ。新潟の有名なワイナリーのぶどう畑のお手伝い、もしくは長野の広告代理店のイベント業務のお手伝い。「どっちも富山の隣だし寒いじゃんよ…」と自分に突っ込んだけど、やりたい仕事がこのふたつだったから仕方ない。
まずは新潟に電話連絡。
窓口である役場の方はとてもウェルカムな様子でしたが、「実は…場所がかなり人里離れたところで、期間中の宿泊先は数キロ離れた温泉宿をご自身で予約されて下さい」とのこと。なるほど、広大なぶどう畑が街中にあるわけないもんね。それにしても、
温泉宿を予約…
3週間…
文豪かよ…
となったので一旦保留。
一方長野は、
私がチェックした限りですが窓口のサイトがとても丁寧に作られていて、他の自治体とは一線を画し好感触。ひとまず応募フォームを入力後、すぐに来た返信にはリモート面接があると記載があり、面接なんてあんの?ゴクリ…となりましたがその日を待ちました。
面接当日。
担当の長野市役所の女性は優しそうな美人でした。いくつか質疑応答をし、その後「受け入れ先の広告代理店の担当者と代わりますね」と言われて画面横から現れた女性。
その人が
エリコ…
Biotope発起人の岡田江里子さんでした。
「えっ!」
と固まる私。
だって、広告代理店の人って脂っぽくて熱そうなおじさんじゃないの…!(偏見)
ショートカットで小柄な感じだけど、すごい目力のエリコ。やばい、蛇に睨まれた蛙の気分だ。
彼女の第一声が
エリコ:その髪型キュートね〜
だったことで力が抜けつつも
アヤ:もし採用になりましたら、さすがに金髪は染め直しますから…
と恐縮する私に対し
エリコ:え〜?別にいいんじゃな〜い?
と返答した彼女に、なんという大物感….
地方の会社で金髪OKなんてありえる?!となったのでした。
結果はたくさんの応募の中から私を選んでいただき、晴れて長野市での楽しいワーキングホリデーがスタート!
…と
なればよかったのですが、
さて、どうなったのか。長くなったので続きは次回!お楽しみに。
画家
関口 彩
画家。富山県出身在住。
会社員のかたわら絵画制作をはじめ、2017年より画業に専念する。 作品は、動植物や石など自然のものを独自の視点で切り取り、細やかな筆使いで描くのが特徴。 装画、パッケージなどのクライアントワークを手がける他、作品発表を各地で行う。