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データから見える長野県民の県民性Vol.2世界最強の長寿県ー長野」

こんにちは。
Biotopeライターの伊勢サツキです。
前回に引き続き、“データから見える長野県民の県民性“について、お送りしています。
前回は、幅広く消費という観点からデータをみていきましたが、今回は“長寿”という観点に絞って長野県民を分析してみたいと思います。

実は私のひいおばあちゃんは、一時期長野県で一番長寿だったというツワモノ。ほぼ確実に長寿遺伝子を引き継いでいる私自身も、どうして長野県民がここまで長寿と言われているのかとても気になっていました。

▼データから見える長野県民の長寿ランキング
まずはデータから見てみましょう。厚生労働省が5年に1度実施している都道府県別平均寿命表を調べてみました。

調査年度男性平均寿命(全国順位)女性平均寿命(全国順位)
2000年78.90歳(1位)85.31歳(3位)
2005年79.84歳(1位)86.48歳(5位)
2010年80.88歳(1位)87.18歳(1位)
2015年81.75歳(2位)87.67歳(1位)
2020年82.68歳(2位)88.23歳(4位)

↑長野県民の平均寿命の推移と全国ランク(厚生労働省の調査より)

 最新の2020年の調査では、長野の男性は82.68歳で全国2位、女性は88.23歳で全国4位の平均寿命になっています。上記の表を見てもわかるように、長野県の平均寿命は年々伸び続けており、ここ20年程遡っても、度々全国1位の長寿県にランクインしています。

ちなみに、UNFPA(国連人口基金)が発表した2022年「世界人口白書」によると、世界的な長寿ランキングでも、日本は堂々の1位。香港やスイスなどにトップをゆずることもありますが、ここ数十年はトップクラスの長寿国を維持しています。
ここから、長野県民は日本のみならず、世界でもトップクラスの長寿を誇る地域であることがわかります。

▼実はもともと長寿県ではなかった長野県
 さて、ここからは具体的に長野県民がどうして長寿なのか探っていきたいと思います。

よく言われるのは食生活ですよね。一方、前回の消費額ランキングを眺めてみると、食用油と塩の消費量がトップクラス…ってあまり健康なイメージはないですよね。

 先ほどの厚労省の調査を調査初年度の1965年まで遡ってみると、長野県の順位は男性が全国9位、女性は26位。また1975年くらいまでは、全国の平均寿命よりも長野県の平均寿命が下回ることもあった模様。この当時、長野県民の塩分摂取量は全国でもトップクラスだったそう。それが原因で高血圧を引き起こし、脳卒中による死亡者は全国1位という不名誉な結果に…。ここから県内の病院が問題意識をもち、一般家庭や農家などへの健康指導や減塩運動を強化していったようで、これにより、一般家庭レベルでも「病気にならないように気を付ける」という予防医療の考えが浸透していったのだそう。

もともと、全国的にみても喫煙率の低さや野菜の摂取量の高さから、健康的な生活の要素はあった長野県。そこに追加して、地道な健康促進運動があったからこその長寿実績だったようです。この名残かはわかりませんが、我が家でも料理の合言葉は“薄味”で、父親がおかずにマヨネーズや醤油など味の濃いものをかけようとして、ものすごく怒られるなんて光景をよく目にします(笑)
と言っても、味噌や漬物など塩辛いものはよく食べている気もしますが、これらの食品は塩辛いのと同時に発酵食品。発酵食品をよく摂取するのは長寿の秘訣になりそうです。我が家の食卓でも納豆と味噌汁と漬物は欠かせません。

▼標高が高い環境が長寿にも影響?
もう一つ、面白かったのが、地理的な要因。長野県民は標高が高いところに住んでいるため、心肺機能が活性化しており、長寿の要因になっているというもの。確かに、盆地といわれる長野市でも標高は350m以上。それが長寿の理由になっているとはすぐピンときませんが、周りを見ていても、趣味として登山をしていたり、日常的にウォーキングを習慣にしていたりする人は多いように感じます。それの証拠かはわかりませんが、長野県は肥満率も例年全国40位程度と低い模様。健康的な体系の維持に山岳エリアは大いに貢献しているような気がします。

世界的にみると、言わずと知れた世界有数の山岳国であるスイスが毎年世界長寿ランキングで上位にランクイン。これをみると、あながち標高が高いエリアに住む人は長生きという説も間違っていないのかもしれません。

▼健康寿命も全国トップクラスの長野県
 もう一つ、長寿の理由に数えられているのが、高齢者の就業率の高さ。1985年の調査から8回連続で全国トップを記録しています。これは、農林業に従事している人が多いことによるものが大きいと考えられます。確かに、長野の田畑には元気に働くおじいちゃん・おばあちゃんを多く見かけますよね。私の祖父は毎年、春と秋の山菜ときのこの収穫を楽しみにしており、齢80にして若者でも追いつけないようなスピードで山を登っていきます(笑)年をとっても「生きがい」をもって働ける環境や趣味は貴重ですよね。

この結果を裏付けるように、“日常を介護などに頼らず自分の力で生活する期間”と定義される「健康寿命」についても長野県は2020年の調査で女性が全国第1位、男性は第2位。

女性については、5年連続の首位で、男性については今年度滋賀県に首位を奪われるも、過去4年連続首位の座についていました。

寿命のみならず、健康寿命も首位なんて、とても輝かしく、誇らしいデータですよね。

最近では“人生100年時代”なんて言葉がそこら中で言われていますが、私たち長野県民には、データから見ても脈々と“人生100年、健康で元気に働く遺伝子”が組み込まれているように感じました。

とはいえ、このような結果も先人の努力もあって築き上げてきたもの。データに甘んじず、健康の維持と生きがいの探索は日々欠かさず、頼られる長寿でかわいいおばあちゃんを目指していきたいなと感じてしましました!

2回連続でお届けした“データから見える長野県民の県民性”いかがでしたか?

納得感のあるものから、ちょっと意外なものまで、私も楽しく記事を書くことができました。

最近は、思い立ったらすぐ移動もできてしまうし、何でも手に入る世の中で、“県民性”といっても薄れてきてしまっているのかもしれませんが、長野県民としての良いアイデンティティは守っていきたいなと改めて感じています。また、面白い長野県民ならではのデータがあればご報告したいと思います!

フリーライター

伊勢さつき

ビオトープライター。長野県長野市出身。普段はちょっともやもやしたOLを続けつつ、会社で身につけた企画業務やファシリテーション能力を活かして、ライターやワークショップデザイナーとして活動中。将来の夢は周りから愛される骨のあるおばあちゃん。

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