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食の未来を考え、アクションし続けるフレンチレストラン~Dining Iris~ [長野市タイアップ記事]

長野駅から善光寺方面へ徒歩10分ほど、TOiGOそばに2022年7月にオープンした「Dining Iris(ダイニングアイリス)」。カジュアルな雰囲気で本格的なフレンチを楽しめるレストランです。

▲安曇野市の農家さんから取り寄せた野菜がふんだんに使用され、見た目からも元気をもらえるメニューが特徴です。

店をてがけたオーナーの望月栞さんは現在26歳。
シェフの藤元裕希さん、店長の黒木遼太郎さんとともに2022年に都内から移住し、店舗を構えました。

「食を育て、人を育てる」
「食と人をつなぐ場所」
「食の希望を未来へ」

ホームページには3人の店にかける想いが、こんな言葉で表現されています。食事の提供にとどまらず、広く「食」への関わり方を模索する「Dining Iris」。
彼女たちはどのような経緯で開業し、食への向き合い方を考えているのでしょうか。
今回は望月さんに長野での暮らしと、お店の展望について伺いました。

祖父母の畑がつないだ長野との縁

「高校生から大学生にかけてイタリアンやおにぎり屋、うどん屋など飲食店のバイトばかりをしてきました。まかないのないバイトはできないくらい、食べることが好きなんです。」と望月さんは楽しそうに話します。

アルバイトを通して接客と食の楽しさを知り、大学卒業後も飲食関係の企業に就職しました。一緒にお店を営む店長の黒木さんは前職の同僚、シェフの藤元さんは元バイト先の同僚の友人という食を愛するチーム構成。
「お店を始める前に、今のメンバーともうひとりで『TEAM Iris』を立ち上げ、都内でイベントを開催するなど、食に関わる活動をしていました。」

▲(写真左から)藤元さん、望月さん、黒木さん

3人が長野を開業先に選んだのは、望月さんの祖父母が所有していた戸隠の畑がきっかけでした。

「飲食店を営業し続けていく上で、店舗の家賃コストは負担になる部分だと思っていました。そんな時に、おじいちゃんおばあちゃんがかつて通っていた畑をどうしようかという話になって。『自分の土地でお店をやったら家賃を抑えられる!』と土地を譲り受けることになったんです。」

食に関わるなら、有名なシェフの元でサービスマンを続ける道もあるなか、自分のやりたいことは自分自身でやらないと一生叶わないと、望月さんは自らお店を開くことを選択しました。

「だけど、よくよく考えたら長野には知り合いがひとりもいない状態でしたし、私たちは名の知れたサービスマンでもシェフでもありません。まずは駅前や市街地でお店を開いて実績と長野でのつながりをつくり、将来的に戸隠でお店をやろうと決めたんです。」

四季を実感できる長野での暮らしが肌に合う

知り合いはおらず、土地勘もない長野での生活。望月さんは不動産サイトで物件を調べつつ、現地に行けばなんとかなる! と市役所へ住まいの相談に向かいました。

「節約のため、まずは3人で一緒に住もうと決めていたんです。物件の条件は『ひとり1部屋あること』。市役所の移住・定住相談デスクの方々に相談すると、長野市が管理する『七瀬住宅』を紹介してくださったんです。3DKの間取りで私たちの求める条件に合ってましたし、移住から3年間は家賃が半額になると聞いて※。3人で割ったら一人約2万円で住めるじゃないですか。『ここがいいじゃん!』とすぐに住まいが決まったんです。」

移住後も考えるより先にアクションを起こした望月さん。お店をつくるにも業者すら知らない状態でしたが、先輩に話を聞こうといろんなお店に足を運び食事をし、自己紹介をしました。

「お隣さんはじめ、どのお店もみなさん『東京から来たの!』とウェルカムな雰囲気でしたし、今も仲良くしてくださっています。また、開業のための補助金があることも移住・定住相談デスクの方から教えていただき、店舗を構える際に活用することにしました。移住・定住相談デスクの皆さんが親身に相談に乗ってくださったので、移住や開業での困りごとはほとんどなく、とても助かりました。」

▲飲食店は土日出勤が当たり前で休みがとりづらい業種。
「Dining Iris」では仕事を頑張りつつ、柔軟に働ける体制づくりも大切にしている。

長野での暮らしはどうですか? との問いには「東京に行っても長野で見る山並みがすぐ恋しくなるんです。」と長野県民らしい回答が。それくらい、長野は望月さんの肌に合っているのだそう。

「自然が身近にあることもあって、ひとつひとつの季節をしっかり感じられますし、東京と比べると時間の流れがゆっくり。長野駅前でさえ、せかせかしている人がいない気がするんですよね。3人とも冬の寒さにはまだ慣れていませんけど(笑)」

職場もプライベートも一緒の3人。よりよい店づくりを考えるなかで意見が衝突することはありますが、言いたいことを言え、言わなくてもいいことは言わない。そんなバランスの取れている関係性だと望月さんは言います。

「2人とはそこまで長い仲ではないので、人となりを全て理解しているわけではないんです。だからこそ、24時間ずっと一緒にいることが、これからもっと仲を深める秘訣だと思っています。一人の時間が欲しかったら、自分の部屋にこもることもできますので(笑)!」

※【七瀬住宅】
長野市が管理する、JR長野駅東口徒歩7分、11階建ての鉄骨鉄筋コンクリート造のマンション。
長野市への移住者および大学等を卒業後、長野市または長野市に隣接する市町村に就業する見込みの方を対象に、入居から3年間は通常家賃の半額で入居が可能。

広く「食」を楽しみ、考えられる事業を

この春で望月さんは移住2年目を迎えます。今回彼女の移住を支えた市の支援制度は、「Dining Iris」の事業展開を考える上でひとつの指針になっているのだそう。

「七瀬住宅は3年で退去し、それぞれ別の住まいを探す予定でいます。お店をはじめて3年が今のやり方で事業を続けていくかどうか、目安になると思っていて。1年目は『新しいお店ができた』と新規のお客様にたくさん来店していただけますが、2年目以降はそうもいかなくなってくるんですよね。あと2年でどれだけ成長できるか、日々考えながら行動しています。」

▲今年は戸隠の畑での野菜づくりにも着手予定

2年目の展開を伺うと、よりフレンチに親しみを感じられるような事業を構想中とのこと。

「まだまだイメージ段階ですが、長野市周辺のご家庭で出張料理をできたらいいなと思っています。最近は共働きの家庭が多く、手料理をつくる時間って限られると思っていて。私の母親もそうだったのですが、仕事が忙しいから夕食はお惣菜だけ買ってきてご飯を家で炊くパターンも多いのではないでしょうか。たまには何もしなくてもおいしいご飯が出てきて、お酒を飲んで、片付けをしないでそのまま眠れるような時間を提供できたらと思っています。また、もう少し気軽に本格的な食事を楽しんでもらえるよう、湯煎で楽しめるコースセットの開発にも着手できたらと思っています。
どちらの事業も私たちの力だけで進めていくことは難しいので、長野県内のいろんな飲食店さんに協力していただき、実現に向けて動いていきたいです。」

取材を終えて

自分たちの子どもや孫の代に何を残していけるか。今回の取材を通して、食の未来を少し意識するようになりました。というのも、小さい子どもがいるにも関わらず、私は彼らが大人になったときの食について考えたことがなかったのです。
だからこそ取材の終盤、「現状、日本でおこなっている地産地消だけでは全然物足りないなと感じていて。次の世代に繋げられるような食育のきっかけづくりを私たちが提供していきたいです。」という望月さんの力強い言葉にどきりとしました。
10年後、20年後の人と食との関わりを見据えてアクションを起こし続ける「Dining Iris」。
長野市でエネルギッシュに活動する彼女たちに共感する方は、ぜひお店に足を運んでみてください。

[Biotope×長野市タイアップ記事]

フリーライター

ナカノヒトミ

1990年長野県佐久市出身。
2017年よりフリーライターとして活動開始。どこでも地元メディア「ジモコロ」などウェブメディアを中心に執筆を行う。
2018年4月に「シンカイ」の店長になり、佐久市から長野市に引っ越す。2020年に出産し子育て中。

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