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イイムロがいく おしかけ職場探訪Vol.10[森田舞さん 第2話]

社労士としてだけではなく、コーチング事業や子育て中のママのために立ち上げた任意団体での活動などいくつもの舞台に立ち、広く誰かをサポートしている舞さん。関わるひとそれぞれの力を最大限に引き出しているように見えます。Web版2話目はお仕事の話をメインに、Biotope紙面では紹介しきれなかったロングインタビュー、Web版として全3回に分けて公開です。

森田 舞さん
長野市出身の両親のもとに生まれる。神奈川へ進学し就職、結婚。夫婦ともに無職で長野に戻る。半年の猛勉強の末に社会保険労務試験にふたりで合格し、開業。その後コーチングを学び、コーチングアカデミー長野校を開校。母としては長年不妊治療を経験。体外受精の末に37歳で第1子を出産、流産を経験しつつ41歳で第2子を出産。子どもの夢をサポートできるママを増やすべく「ゆめサポママ@ながの」も運営し幅広く活動中。

第2話:人の役に立つような、サポートするような事務所を

飯室(以下、飯):前回のインタビューでは、長野市に戻られてからご夫婦で社会保険労務士の試験に合格されたところまで伺いました。

舞さん(以下、舞):はい。

飯:ここで開業した事務所名が、 ”もりたサポート・オフィス” だと思うのですが、どうしてサポートオフィスだったのでしょう。素人考えかもしれませんが ”〇〇社会保険労務士事務所” のようなもう少し固い名称をイメージしていました。

舞:確かに、当時は ”森田社労士事務所” というような名付けかたが一般的でした。夫は行政書士でもあるので ”森田社労士行政書士事務所” のようにさらに長くなります。

飯:それは確かに長いですね…。

舞:でも、私たちはただ社労士や行政書士の業務をやりたかったわけではなく、人の役に立つとか、誰かをサポートする、そういう事務所を作りたいと思っていたので、 ”もりたサポート・オフィス” と付けました。

飯:社労士や行政書士の業務も含めた、もっと大きな意味でのサポートですね。

舞:顧問先に居酒屋がありましたが、スタッフが足りないときには制服を着て手伝ったこともあるんです。それもやっぱり、もりたサポート・オフィスだったから。自分たちの想いに合った名前を付けたと今でも思っています。

飯:サポートする範囲が広いですね…。舞さんはコーチングの事業も行っています。こちらはどのように始まったのでしょう。

舞:税理士や会計士はお金を扱う専門家ですが、社労士はときとして企業の課題にもなりうる ”人” を扱う専門家。ですのでコミュニケーション力も大切です。もりたサポート・オフィスを立ち上げて3年くらいたった頃のことですが、当時まだコーチングはメジャーでなく、それよりもキャリアコンサルタント(以下、キャリコン)を増やそうとする流れが国の施策としてありました。

飯:キャリアに関して幅広く相談でき仕事選びや能力などの手助けをしてくれるのがキャリコン。一方でスポーツ選手とコーチの関係性のように、対話をしながら強みや弱み、将来像などを一緒に見つけていくのがコーチング、という感じでしょうか。

舞:コーチングはまだあまり知られていませんでしたが、私はキャリコンを学んだあと、コーチングに興味が湧いてきました。コーチングを学ぶためにいろいろなところの資料を取り寄せていたんです。そんなときに偶然読んでいた日経キャリアにコーチングアカデミーというスクールが広告を出していました。そのスクールは本校が名古屋、そのほかに東京、当時は静岡、浜松、一宮でも開校していたので、地方にも優しそう。しかも一宮校の校長が社労士だったんです。そのとき歯車があった感じがしました。

飯:なるほど。

舞:それで、そのスクールのガイダンスに行ってみたら、内容がすごく良かった。ガイダンスだけ出るつもりだった夫も結局は一緒に学び、ふたりでコーチングのインストラクターに。その後は長野にコーチングを広めるため、コーチングアカデミーの長野校を開校することになりました。

飯:ご自身が学ぶだけでなくコーチングを教え広める立場に。どんな思いがそこにあるのでしょう。

舞:中学生の頃の私はコミュニケーションを取るのが苦手だったし、人間関係もうまく構築できずにいて、ある種そのまま大人になりました。それでも今、自分のことを認めたり好きでいられるのはコーチングを学んだからというのもあります。あの頃の私と同じように悩んでる人は長野にもいるはず。そう思ったのが、18年前にコーチングアカデミーの長野校を開校した最初の理由。今でこそオンラインでいくらでも学べるけれど、当時は東京や名古屋、大阪など大都市でないと学べなかった。じゃあ私たちが学んできた同じレベルのものを長野でも学べるようにしようって。

飯:コミュニケーションや人間関係の力で人を元気にするというのは、舞さんの ”ゆめサポママ@ながの” での活動にも現れているように思います。

舞: ”ゆめサポママ@ながの” は子育て中のママがイキイキと好きなことができる地域社会を作るために2016年に立ち上げた任意団体です。子育てが落ち着いたらどんな働きかたをしよう、フリーランスってどういう働きかたなんだろう、と考えているママに向けて、「プチ起業・フリーランスのためのスタートアップ講座」を開講したり、みんなで子育ての不安や悩みを解消するため “ままのてつなご@信州(以下、ままのて)” というオンラインサロンの活動をしたりしています。

飯:子育て中や子育てを経験したママが運営を行い、同じように子育て中のママが受講しているということですね。

舞:オンラインサロンの “ままのて” はほぼボランティアで構成されています。子どもがいると責任ある仕事は大変ですが、ボランティアだとみんなで協力し合ってカバーし合えることがほとんど。お金はもらえないけど一歩踏み出して何かやりたいと思っている人が集まります。

飯:子育て中は社会との関係性も希薄になりがちなので、他者と繋がれる場所があるのは救われますね。

舞:これまでボランティアで  “ままのて” の司会進行をやっていた女性が、仕事として司会の依頼を受けたそうで、あのときやっててよかったです! って先日言われました。

飯:チャレンジの場にもなっているんですね。舞さんの行っていることは多岐に渡りますが、全て誰かをサポートしている、サポートという言葉がキーになっていることに気がつきました。

(続きます)

1166バックパッカーズ

飯室 織絵

兵庫県出身。2010年に長野市にてゲストハウス・1166バックパッカーズ開業。ガイドブックの情報ではものたりない旅人と地元のひとを緩やかに繋ぐパイプ役を目指す。日々旅人の話を聞かせてもらうなかで聞き・書きにも興味を持つ。

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