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日々、描いたり泣いたり笑ったり#8[アートは決まりごとなどない。自由に楽しんでいい!〜梨屋×アートからの発見〜]

8月21日から3日間開催していた個展も無事終了し、しばらくダラけよ〜と思っていた間に、暑い夏が過ぎ去って、季節は秋になっていたよう。

みなさんいかがお過ごしですか。

私、夏の間にかき氷とパフェは食べに行こうと思っていたんですよ。あと素麺の有名なお店に行こうと思っていたの。どれも行かないまま秋になってしまってすごく悲しい。

だけど、秋は秋で楽しいことがあるし、悲しんでいる暇はないですね。本当は私いま忙しいんだった(お待たせしている方面から石が飛んでくるかもしれん)

さて、今回のコラムは秋にちなんで「アートの楽しみ方」をテーマに、先日の個展のこと、感じたことなどを綴ってみようと思います。

 

 

個展を「梨屋」でした理由

8月の私の個展は、なんと遠縁にあたる梨屋「林果林園」の直売所の2階だったのです。今までの展示会の場合は、ギャラリーかホールなどの文化施設でした。絵を見に行くための場所として作られているので、作品を飾ることにおいては色々と便利だし、運営側も慣れていらっしゃるし。

しかし今回は、どうしても林果林園が良かった。

コロナ禍で展示会が中止・延期になる中で「私のアトリエにようこそ!」というコンセプトでひっそり開催したかったことと、会場としてお借りした場所がまさにイメージ通りで、私の思いとぴったりマッチングしたからなんですね。(写真は私のFBページインスタグラムをぜひご覧になってみてください)

直売所の2階は、普段は家主の趣味の部屋とでも言いましょうか…センスの良い古道具(中にはきっとアンティークのものも)に囲まれた素敵な空間です。ただし、ギャラリーなどと違って作品用の照明があるわけではないし、壁に掛けるようになっているわけもない、空調もない!という環境でしたが、実はそれって、実際お家に絵を飾る場合と同じ条件じゃないか?とふと思ったのですよね。

結果は大成功でした。

夏場ということもあって外光は十分だったし、薄暗くなっている場所にしても静かな雰囲気が程よく演出されていたし。

そして、来場いただいたお客様を喜ばせたのは、何といっても、会場である林果林園さんの、季節の植物が茂るお庭、まさに旬を迎えた梨や葡萄がたわわに実った果樹園、そして展示室としてお借りした家主の「秘密の部屋」の力のおかげでした。

コロナのため入場制限をしたのですが、お待ちいただいている間もお庭や果樹園を見たり、松の大木にある手製ブランコで遊んだり、なんと果林園さんの計らいでお庭にあるピザ釜で振る舞いピザを焼いていたのだから、主催者である私も仰天のワンダーランド具合。ジブリの空間って本当にあるんやで…という世界が広がっていたのです。

アートって敷居が高い?

あるお客様がおっしゃいました。

「ギャラリーとかだったら入りにくくて来なかったかも。梨屋さんで良かった」

私たちアーティストにとっては馴染みのある場所ですが、慣れない方にとっては「ギャラリー」って異世界なのかもしれませんね。何か決まりごとがありそうで敷居が高いし、セールスされるかもしれないし…。

また、「アートって苦手意識があって。良いか悪いか分からないし…」とポツリと教えてくださったことが嬉しかった。

アートと一括りに言ってもいろんな世界があるのですが、私は人に寄り添う絵を描きたい。「苦手意識がある」ということを伝えてくださるのは「言っても大丈夫」と感じたからだろうと思うのです。

私はいつもこうお伝えします。

「好きなお洋服を選ぶように、アートも同じ感覚でいいんですよ。ピカソが分からないからダメってことないんです。私も良さが分からないアートはたくさんあります笑」ってね。

アートは決まりごとなどない。自由に楽しんでいい!

空の色は水色で、りんごは赤色で、葉っぱの色は緑で…

本当にそうでしょうか?本当に本当に、そうなのでしょうか?

子供の頃、図工や美術の授業で「その色はおかしい、こっちの色で塗りましょう」とか「筆はこうやって持ちましょう」など、自分の思いとは違う「決まりごと」を言われた人は多くいると思います。

だけど、きっと地球上で初めて絵を描いた人は、そんな決まりごとなどなかったはずなんですね。

初めて見た空の色は赤色だったかもしれない。目に障がいのある人にとっては、りんごは黄色に見えているかもしれない。葉っぱは確かに緑だけど、青が好きなんだ!

自分の中の「正しい」「好き」が、人と同じとは限らないのです。

「正しい」という物差しならば、「梨屋」と「個展」は交わらなかったと思います。普段通りなら白壁のギャラリーをお借りしたでしょう。

だけど私は、林果林園のお庭や秘密の部屋にとても惹かれていたから、「好き」を頼りに普段とは違う冒険をすることにしたのです。

そうすることによって、「こういうのって、アリなんだ」という視点や、「アート×○○」という相乗効果の考え方を新たに取り込めたような気がします。

「アートは決まりごとなどない。自由に楽しんでいい!」

今回の個展に来て下さったみなさまの楽しそうな姿を見て、改めて深く考える時間をいただきました。

画家

関口 彩

画家。富山県出身在住。
会社員のかたわら絵画制作をはじめ、2017年より画業に専念する。 作品は、動植物や石など自然のものを独自の視点で切り取り、細やかな筆使いで描くのが特徴。 装画、パッケージなどのクライアントワークを手がける他、作品発表を各地で行う。

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