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イイムロがいくおしかけ職場探訪Vol.5[原田麻里子さん 第2話]


もらっていた内定を辞退し、大学卒業後はリサイクル業界紙の記者、市民団体のスタッフ、議員秘書、と所属を転々とされた原田さん。

オーストラリアやヨーロッパへの渡航も挟み、20代はいろんなことが楽しすぎて、この先の人生が想像つかなかったそうです。Biotope紙面では紹介しきれなかったロングインタビュー、Web版として全3回に分けて公開です。

原田麻里子
東京都出身。大学卒業後は環境系のNPO団体や議員秘書、NPO・NGOと企業を繋ぐコーディネーターとして働く。2017年に長野市に転居したあとは、フリーランスで鬼無里観光振興会の企画・広報、NPO法人まめってぇ鬼無里のイベント運営やSDGsの普及活動なども行う。

 
 

第2話:『目の前の関心事にひたすら反応しつづけた20代』

飯室(以下、飯):東京生まれ、東京育ちの原田さんは、大学卒業前に小笠原諸島に旅行したのがきっかけとなり、内定をもらっていた会社への就職を辞退。新聞の求人欄で偶然目にしたリサイクル業界誌の記者として働き出しました。

原田(以下、原):そうですね。前回はそこまで話しました。

飯:そこで記者として働きながら、リサイクルや環境への知識を深めてゆくわけですね。

原:いや、3ヶ月で転職しちゃった。

飯:え…早い…。

腹:実は記者の見習いをやっていた際に、とある市民団体への取材に行ってね。そこは市民団体なんだけれど株式会社と表裏一体で事業をやっていて、それは当時では異例だった。活動内容もおもしろそうだなって思っていたらちょうど求人をしていて、縁あってそこで働くことに。

飯:そうでしたか。その市民団体には長くいらっしゃったんですか?

原:いや、ゆくゆくオーストラリアに行きたかったので、そこも数年で退職したの。

飯:予想外に転々と…。

原:そう。でもオーストラリアに行こうとしていたとき、お世話になってた大学時代の先輩が衆議院選挙に出馬することになって。ちょうど仕事を辞めていたし、選挙期間だけと思って手伝い始めたの。そうしたらなんと当時の最年少で当選。選挙だけ手伝うつもりがその後も議員秘書として関わることになってね。

飯:業界紙の記者、市民団体のスタッフ、議員秘書…。めまぐるしいですね。オーストラリアは断念されたんですか?

原:それがね、議員秘書を休職して、オーストラリアにも行ったの。

飯:おお、休職扱い!いいですね。どうしてオーストラリアだったんでしょう。

原:単純に南半球に行ってみたかった。お腹に袋のある生きものってどういうこと〜? って(笑)。あとは環境政策を第一義にするグリーンズという緑の党や環境保護団体もあったから、そこでボランティアをしてみたくて。

飯:オーストラリアは環境問題への意識が高いんですね。

原:というわけではなかったかもしれないけど。1987年に国連の委員会で「持続可能な開発」という概念が打ち出されて、オーストラリアでも森林伐採、温暖化、海洋汚染といった環境課題にちゃんと向き合う政党ができたころだった。

飯:かなり目的意識を持った渡航のように思いますが、現地ではどんな生活でしたか?

原:いやいや…。基本は旅に出たい! という気持ちが先行してたし、目的意識は後付けみたいなもんだったのよ。

飯:ワーホリビザで渡航されたんですか?

原:そう。ワーホリだったのでアルバイトでお金を貯めて遊びに行ったり、イギリス人のおじちゃんとお家をシェアして一緒に住んだり。友達になった旅行者の車に乗せてもらったときは、ところどころで泊まってきなよって言ってくれる人に泊めてもらったりもした。アウトドアのキャンプツアーをやってるファミリーには、皿洗いやトイレ掃除する代わりに1ヶ月半くらい住み込ませてもらったり。オーストラリアの自然を堪能してたね。

西オーストラリアのカルバリ国立公園にて 
キャンプツアーに住み込み、皿洗いをしていたころ ( ともに原田さん提供 )


飯:ボランティアもされたんですか? 英語力が必要な感じがしますが…。

原:英語は学校で習ったくらいのレベルだったから、ボランティアって言ってもたいして役に立たないはずなのに、向こうのひとはオープンで「いらっしゃい、ありがとう」って受け入れてくれたんだよね。環境に関係ある新聞記事の切り抜きや整理などをやったりしてた。グリーンズっていう政党にもお邪魔させてもらって。

飯:楽しそうです。最近はコロナ禍もあって、そういう旅や海外での過ごし方の感覚を忘れていました。

原:その後はお金がなくなったタイミングで帰国。議員秘書には在籍していたので、帰国の翌々日くらいから復帰したの。

飯:仕事があるのはありがたいけれど、それにしても早い復帰ですね…。

原:そうね。その後、環境に関する国際議員連盟の会議に秘書の仕事で出席したのがきっかけになって、EU(欧州連合)の議員と知り合った。その出会いが縁で、EU本部があるベルギーのブリュッセルや議会のあるフランスのストラスブール、スウェーデンに行けることになって。

その後もオーストラリアにいたときに知り合った人を訪ねたりしながら、3ヶ月くらかけてオランダ、ドイツ、ポルトガル、スペイン、イギリス、アイルランドも周遊した。知ることが楽しい、話すことが楽しい。20代はいろんなことが楽しすぎて、この先の人生が想像つかなかった。環境系の会合という会合、勉強会、交流会、異業種交流パーティとかよく行ってた。とにかくいろんな人とあって話していた頃。

飯:原田さんがどんどん外部から得たエネルギーを蓄積し、満たされていく期間のように思います。


(続きます)

1166バックパッカーズ

飯室 織絵

兵庫県出身。2010年に長野市にてゲストハウス・1166バックパッカーズ開業。ガイドブックの情報ではものたりない旅人と地元のひとを緩やかに繋ぐパイプ役を目指す。日々旅人の話を聞かせてもらうなかで聞き・書きにも興味を持つ。

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