イイムロがいく おしかけ職場探訪Vol.10[森田舞さん 第3話]
私生活では小中学生ふたりの子どもの母親である舞さん。Web版3話目は働く女性にとって気になる仕事と家庭のバランスの取り方や、夫婦関係、親子関係についても伺ってみました。Biotope紙面では紹介しきれなかったロングインタビュー、Web版として全3回の最終回の公開です。
森田 舞さん
長野市出身の両親のもとに生まれる。神奈川へ進学し就職、結婚。夫婦ともに無職で長野に戻る。半年の猛勉強の末に社会保険労務試験にふたりで合格し、開業。その後コーチングを学び、コーチングアカデミー長野校を開校。母としては長年不妊治療を経験。体外受精の末に37歳で第1子を出産、流産を経験しつつ41歳で第2子を出産。子どもの夢をサポートできるママを増やすべく「ゆめサポママ@ながの」も運営し幅広く活動中。
第3話:夫は人生を一緒に作っている戦友
飯室(以下、飯):前回は社労士やコーチングなどお仕事の側面についてお伺いしましたが、舞さんはご家庭ではふたりの娘さんのお母さん。ご自宅でも家事や育児を手際よくこなされていそうです。
舞:娘ふたりの四人家族なんですが、家では寝てますよ。
飯:寝てますか(笑)
舞:娘たちには「いつもゴロゴロしてるママしか知らないけど、(外では)ちゃんとやってるよね。すごいねママ」って言われたりして。
飯:それは予想外です。娘さんたちはお母さんのオンとオフを見ているんですね。
舞:これまで子育てや家事の分担は夫と半々でしたが、この2年ぐらいは特にやりたいことが出てきたので、もっとやってもらっていると思います(笑)。お互い、できるときにできることをしたり、得意な方がやる。仕事と同じように家庭もふたりで回しています。
飯:夫婦喧嘩はしますか?
舞:飯室さんのところは?
飯:うちですか…。うちは夫婦共に末っ子なので、互いに小さい頃からいろいろ目をつむってもらえる環境にあったんだと思います。夫に対してわがままだなぁと思うこともときどきあるんですが、冷静に考えると自分もそうだったりして。だからお互いの行動を見返して「あ、我々末っ子ですもんね…」と妙に納得することも。
舞:なるほど。私も夫に対してイライラすることはありますよ。でも22歳と25歳で結婚して、そこから一緒に人生を作ってきたという根本があるので、強い同志感がある。だから細かい喧嘩はあるけれど、それは信頼があるからこそなのかなと。
飯:最近はどんなことで喧嘩しそうになりました?
舞:家に帰ったら、子どもたちを喜ばせるために夫が取ってきたUFOキャッチャーのぬいぐるみがまた増えていて、「それどこ置くの!」って思うんですが、そしたら娘が「ママ怒らないで、パパは悪くないの」とか言って(笑)。
飯:”子はかすがい” ですね。でも、そろそろ娘さんに反抗期がくるころじゃないですか?
舞:思春期はあると思うんですけど、反抗期はないかもしれないって思っています。昨日も娘が「私、反抗期は来ないかも」って言ってました。
飯:反抗期がない?
舞:知り合いに素敵な親子がいるんですが、そのお母さんに反抗期について聞いてみたら、娘さんへも聞いてくれたんです。そうしたら「家では、基本的に自分の考えを尊重してくれていたから反抗する必要がなかった」って。反抗期って、ダメだって言われるから反抗するわけですよね。
飯:なるほど。森田家でも娘さんが反抗する必要はなさそうですか?
舞:もちろんダメと言うこともあります。でもそれはたぶん2、3割。ほとんどが「どうぞ」ですね。
飯:例えば、「学校休みたい」って言われたらどうしましょう?
舞:どうしてそう思ったのか理由は聞きますが、「そういう理由で休みたいんだったら休めばいいんじゃないの」って言います。でも結局休まないんですけどね。頭ごなしにダメとは言わないので、娘は今どきの言葉で「親ガチャ当たった」なんて言ってます。
飯:森田家に生まれてきて満足しているんですね。
舞:今のところですけどね。うちの子に生まれてよかったと思ってもらうことが、私と夫の中で今1番の目標。全力でそれを目指しています。だから子どもたちが「うちの子で良かった」って思ってくれているのは、偶然ではなく私たちの目標に対しての成果なのかなと。もちろんカッとなって怒ることもあるけど、冷静なときは、「うちの子で良かったと思ってもらうにはどっちがいいか」を基準にしています。これもコーチングの考え方なんですが、基準をちゃんと自分で持てると選択がぶれなくなります。
飯:仕事や家庭でのお話も伺いましたが、舞さんのお話にはぶれない意志が明確にあることを感じました。スマホで集めた情報ではなく、自分の頭で考え納得した選択基準を持つことで、余計な心配がなくなりそうです。舞さん、ありがとうございました。
(おしまいです)
1166バックパッカーズ
飯室 織絵
兵庫県出身。2010年に長野市にてゲストハウス・1166バックパッカーズ開業。ガイドブックの情報ではものたりない旅人と地元のひとを緩やかに繋ぐパイプ役を目指す。日々旅人の話を聞かせてもらうなかで聞き・書きにも興味を持つ。